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Lilubay × AVIOT2021-12-21

Lilubay

AVIOTが目指す「日本の音」を音楽の作り手に伺う「ARTIST VOICE」。昨年10月に「add」からグループ名を変え新たな一歩をスタートさせた「Lilubay(リルベイ)」にインタビューしました。

Profile

Lilubay(リルベイ) 
2019年11月、 ⻄村”コン”(きのこ帝国)を中心にシンガーソングライターのタグチハナ、バンビ(可愛い連中、ex.アカシック)によって結成。それぞれがキャリアがあるため、バンド結成のニュースは業界内で大きな反響を呼んだ。 個性のある3人が、不思議なほどまとまり、特定のジャンルに囚われない抜群のアンサンブルを生む。
2020年9月2日(水)1st EP『Not Enough』をリリース。リード曲「もっともっとみたいな気持ちになってよ」は全国14か所のラジオ局でパワープレイを獲得。 2021年、映画「Bittersand」主題歌に大抜擢。初の書き下ろし曲「ニヒルな月」を5月12日に配信リリース。立て続けにテレビ大阪/BSテレ東7月クール真夜中ドラマ「ホメられたい僕の妄想ごはん」のエンディングテーマに決定。書き下ろしの新曲「舌鼓」を7月21日に配信リリース。 
10月15日、初ワンマンライブで「Lilubay (読み:リルベイ)」へ改名を発表。同日「FAITH」を配信リリース。2022年、新曲「酸いも甘いも」がウェディングCMタイアップに決定。1月26日「酸いも甘いも」配信リリース。

(今回聴いた3モデルのなかで)一番パワーがあるイヤホン。

まずは「TE-D01t」について、試聴したご感想を教えていただけますか?

タグチハナ ) 音が細かくて、声の立体感を感じられるイヤホンだと思いました。パンチがある感じがして、(今回聴き比べをした3モデルの中では)一番鋭さを感じられる気がしましたし、部屋の中でいろんな方向から音が鳴っているような立体感も感じられました。全体的に全体にパワフルなパンチがありますね。
「FAITH」(Lilubay)という曲に、声が重なって違うフレーズを歌っているようなところがあるんですが、その“裏メロ”の歌詞が、このイヤホンだとよく聴こえる気がします。自分たちの曲では「日和」(add)も聴いたんですが、それもかなり良かった。
他のアーティストさんでは田中茉裕さんの曲がすごく相性が良かったですね。息遣いとか、その場で歌っているかのような空気感とかも伝わってきて。

西村“コン” ) 僕も同じような感想を持ちまして、パワーがあるなと感じました。いわゆる“ドンシャリ”な感じもありつつ、臨場感も併せ持っているので、広い場所で聴いているような、ワイドな印象を受けました。きのこ帝国の「愛のゆくえ」を聴いたのですが、ギターのふくよかさがぐっと前に出てくる感じがしましたね。僕たちの曲では同じく「FAITH」を聴きましたが、曲がもつ壮大さ、迫力みたいなものがすごく出やすいなと感じました。それでいてクリアさもあるので、いろんな楽器が鳴っていても聴きやすいです。

バンビ ) バランスがすごくいいですね。それからノイズキャンセリングもついているので、曲にぐっと入り込める感じもある。重低音が結構印象的だけど、そればかりが目立っているわけでもなく、スッキリしています。空間の広がりも結構あって、個人的には好きなタイプのイヤホンです。

これ(TE-D01q)はアコースティックな曲によく合いそう。

「TE-D01t」では、みなさん「パワーがありならがらスッキリした印象」と仰っていましたが、TE-D01qはいかがでしたか?

バンビ ) イヤホンって人それぞれ好みがあると思うんですけど、これも個人的にはすごくスッキリしてるな、という感想で。アコースティックな曲をいくつか聴いてみたんですが、3つの中ではその曲が持つ奥行きを一番感じられました。いい意味で“遠い”し、低音も出すぎていないのでずっと聴いていても疲れなさそう。J-POPやきれいめな曲が合いますね。

西村“コン” ) 全体的にまとまっている印象でした。J-Rockとかおさまりよく聴こえる、聴きやすいイヤホンでしたね。僕はTHE CHARM PARKさんの曲とか数曲聴いたんですけど、確かにバンビくんが言っていたように、アコースティックにもあいそう。
あとは(重量が)軽いですね。

バンビ )それでいてノイズキャンセリングがついているんですもんね。移動中(音楽を)聴く人とか多いと思うし、あると便利ですよね。

西村“コン” ) 確かに移動中とかのノイズは気になる!
つけ心地も良くて、しかもリーズナブルなのでとっても良いなと思いました。

タグチハナ ) (音の)粒はちゃんとしているのに、尖りすぎていないのでキンキンする感じが全く無くて、バランスがいいですね。耳に優しい感じ。どんな曲を聴いても疲れずに聴ける感じがします。星野源さんの「そしたら」という曲を聴いてみたんですが、すごく温かみがあって、集中して聴く、というよりも日常の中でBGM的に聴くのが合いそうだなという印象でした!

西村“コン” ) TE-BD21jはとにかくレンジが広い。あと、どの帯域をとってもきれいに聴こえてくる、“質の良さ”を感じました。それからクリアさもあって、いろんな楽器があってもそれぞれがしっかり聴こえてきます。オーケストラの楽器がポップスに入ってることってよくあると思うんですが、そういった音も一つ一つがちゃんと聴こえてくる。とにかく綺麗ですね。
僕はこのイヤホンではアート・リンゼイを聴いてみたんですが、ギターはじめ楽器のニュアンスがきちんと伝わってくる気がしました。

バンビ ) 確かに厚みがある感じがするね。低音のバランスもちょうど良いし、耳馴染みがよくて、そして奥行きがあって。一番綺麗なイヤホンという印象でした。
ハードな曲からゆったりしたものまで聴いたんですが、いい意味でキャラクターがつかないというか。エフェクティブさがないので、ちゃんとその曲本来の音をフラットに届けてくれる感じがします。

タグチハナ ) すごくバランスが良くて、聴き心地が良かったです。全体的に音が鮮明なんですけど、ソフトタッチな優しい感じもあって、ワイヤレスイヤホンビギナーなんですけど、感動しました!
リップノイズの感じとか、息遣いとか、ボーカルによって特徴の出やすいところもしっかり拾ってくれてるので、その人の癖も、これで聴いたらわかりやすいんだろうなって。こっちのイヤホンでも「FAITH」を聴いてみたんですけど、最初のベースの鼓動のような音が綺麗に聴こえてくる。そこが印象的でした。ボーカル以外でも、そういった曲の特徴みたいなものが一つ一つ浮き出てくるように感じられるので、作っているほうも嬉しいイヤホンですね(笑)。miletさんの「inside you」、羊毛とおはなさんの「デイ・ドリーム・ビリーヴァー」を聴いたんですが、特徴ある声の方やハスキーボイスがとっても映える!

言語化できない雰囲気の良さ、みたいなものは大切にしていきたい

今までイヤホンの感想=リスナー側の視点に立ったときのお話を伺ってきましたが、プレイヤーとして音楽を届ける側になったとき、楽曲制作にあたってのこだわりなどはありますか?

西村“コン” ) アレンジをするときに、言われないと気づかないようなポイントまでドラムの細かいニュアンスにはこだわってます。一緒にやっているメンバーですら「あ、ハイハット変えたんだ」みたいな(笑)。
こういった、時として「意味あるのかな?」みたいな小さなこだわりが積み重なって、表現やニュアンスに現れてくると思うんです。イヤホンによっては聴こえなかったり潰れてしまっていたりすることもあると思うんですけど、曲を形作る上で大切なことだと思っています。

バンビ ) 僕は曲の凹凸みたいなものはこだわっています。ダイナミックさ、という言葉が近いですかね。そこは気にしています。
普段ベースを弾いてるんですけど、低音にボリュームがある曲って場合によっては耳が疲れてしまうこともある思っているんです。一聴しただけだと迫力がある”いい音楽”って思われることもあるかもしれないですが、肩こりみたいな重たさがあるというか。だからこそ、「すっきりしているけど迫力がない」のではなく、曲の「凹凸」という微妙なさじ加減を、音作りに関しては気にしています。

ニュアンス面でも、とても些細なことに気を配ることで、リスナーが受け取る印象が変わってくるんじゃないかなと思っていて。大幅になにかを変える、というよりも、印象として「なんかよかったね」とか「今日楽しかったね」とか。
特にライブではそのニュアンスにこだわっていて、「はっきりとは言えないけどなんか良かった」という感想が引き出せたら成功なのかなって思ってます。言語化できない雰囲気の良さ、みたいなものを出すことは、大切にしていきたいです。

タグチハナ ) 表情が見える歌い方、というのは結構気にしています。表情が見える・見えないというところがライブと音源の違いかなと思っているんですが、そもそも私たちはライブ活動から始めたので、レコーディングするときからその差を感じていました。ライブでお客さんと目を合わせ歌えば、それなりに「こんなことを伝えたい」「今自分はこんなことを歌っているんだ」ということが説得力をもって伝えられると思うんですが、表情が見えない場所で、音や声だけでそれを感じてもらわなければいけない、という難しさはあると思います。なので特に収録は、声だけで表情まで読み取れるような表現をする、というがこだわりのポイントかな。
私は歌詞を大切にしたいタイプなので、そのセリフ(=歌詞)を言うときに、どんな気持ちで、どんな表情をして言っているのかを想像して、イヤホン越し、スピーカー越しに声だけでもちゃんと伝わるような表現を心がけています。

メンバーそれぞれが他のバンドグループを経験していたり、現在進行系で掛け持ちしてたり、バラバラのルーツをもった3人が集まったバンド「Lilubay」。他のグループを経験しているからこそ感じる「Lilubay」らしさはどこにあると思いますか?

西村“コン” ) 曲を作るのは他のグループではやっていないので、僕個人で言うと、それはLilubay ならでは、ですね。

タグチハナ ) 信頼しているからこそ、個々のプレイにお互いが委ねあっているところがあるというか。アレンジ一つとっても、自分が担当する楽器に関しては結構自由な感じはありますね。なのでそれぞれの特徴とか個性は結構強く出ていると思います。ベース聴いたら「バンビっぽいベース!」とか。そういうところはのびのびしてます。
曲もいろんな曲があるので「こういうバンド」と一言で雰囲気をまとめることがすごく難しいバンド、というのが、ある意味Lilubayならではの特徴かもしれないですね。

西村“コン” )ちょっと違う視点で言うと、バンドって編成によってできることとできないことが絶対出てくるんです。僕らはボーカル、アコースティックギターと、ベース、ドラムという構成なので、ベースがメロディーを奏でたりすることも多くて。それって僕たちの編成ならではかなと思います。ここにギターがいたら多分そうはなっていないと思うし。

タグチハナ ) アコギが入ることによって、どんな曲にも温かみがあるっていうのは特徴かもね。Lilubayならではかも。

バンビ ) 意外と僕たちみたいな編成ってないよね。「アコギを使った曲」はあっても、基本的にアコギがベースっていうのは。だからこそなのかもしれないけど、制作中に躓いたり、立ち止まったりした時、僕は他のアーティストのいろんな曲を聴いて模索したりするんですけど、参考になりそうな曲ってほぼ無いんですよ(笑)。まだ見つけ出せていないだけかもしれないですけど。

西村“コン” ) そういうエピソードが出てくるのも、僕らならではかもね。

思い描く“海”のイメージは多分違うけど、“しっくりくる”という感覚は同じ

昨年10月に、バンド名を「add」から「Lilubay」に改名することを発表。これにはどういった背景や意味が込められているのでしょうか。

タグチハナ ) 「Lilubay」はわたしが思いついた名前なんですが、「小さな入り江」=「Little bay」を短縮した言葉なんです。
入り江ってまわりが何かに囲まれたくぼんだ地形のことを指すんですけど、独自性をもっているというか、入り江の中だけで作り上げられている動植物、波のカタチ、空気とか、そういう独自性をもった空間が素敵だなと思っていて。
3人の独自性が魅力のバンドなので、それも加味したときに「Little bay」という言葉がぴったりだなと思ったのがきっかけです。ちょっとユートピアっぽいというか。自分たちで作り上げる桃源郷というイメージですかね。

西村“コン” ) 僕はバンド名を初めて聴いたときに、すごくしっくりきました。
3人とも全然違うところで育っているし、きっと3人とも思い浮かべている“海”は違うけど“しっくりくる”という印象は同じ、という感じですかね。

タグチハナ ) 改名も突然のことではあったんですが、それによってなにかが根本的に変わる、ということはなくて。addとしていままで3人で作り上げてきたものはそのまま大切にし続けますし、バンドの趣旨が変わるというより、ポジティブなステップアップとしての改名ですね。編成もスタイルも変わらないし。

バンビ ) 2人が全部言ってくれましたが(笑)、本当にその通りですね。バンドとしてのコアの部分は何も変わらず、これからも今まで通り曲を届け続けたいと思っています。